新潟市西蒲区を中心に栽培されるブランドイチジク「越の雫(こしのしずく)」が、今年も出荷の最盛期を迎えています。ぷちぷちとした食感と芳醇な香り、そして上品な甘さが特徴のこのイチジクは、秋の味覚として県内外が高い人気を誇ります。
出荷量は前年比増、品質も良好

JA新潟かがやきによると、2025年の出荷計画は約220~250トンで、昨年より約20トン増加しています。春先の霜被害がほとんどなく、天候が安定していたことが大きな要因です。特に8月以降は適度な雨が降り、生育が順調に進んだことで、例年より1週間ほど早く集荷場が稼働しています。
「越の雫」は秋果専用 新潟ならではの栽培スタイル
「越の雫」は、秋果(しゅうか)タイプのイチジクです。使用されている品種は「桝井ドーフィン」は、その年に伸びた新枝に実をつける秋果専用品種であり、収穫は主に8月中旬から11月中旬にかけて行われます。
新潟県は他のイチジク産地に比べて緯度が高く、春の気温上昇が遅いため、前年の枝に実る夏果(かか)の栽培には不向きです。そのため、夏果の収穫は行わず、秋果に特化した栽培体制が築かれています。これは新潟の気候に合わせた合理的な選択であり、「越の雫」の品質の高さを支える重要な要素です。
生産体制とブランド化の歩み
「越の雫」は新潟市西区・南区・西蒲区、そして燕市で栽培されており、現在109戸の生産者が約15ヘクタールで栽培しています。新潟県内のイチジク出荷量の約7割を占める一大産地です。
ブランド名「越の雫」は、約10年前に一般公募で決定されたもので、選果場で厳しい検査を通過したものだけが「越の雫」として市場に出荷されます。JAでは「いちじく塾」を開催し、新規栽培者の育成にも力を入れており、毎年4~5人が新たに栽培を始めています。
食べ方のおすすめ
JAいちじく部会の鈴木哲也部会長は、「やはり生で食べるのが一番おいしい」と語っています。もちろん、昔ながらのワイン煮や甘露煮、ジャムにしても美味しく、肉料理やスイーツにも相性抜群です。
地元直売所でも人気
出荷された「越の雫」は、県内の直売所にも並び始めており、買い求める人々で賑わいを見せています。特に8月下旬から9月上旬に収穫されたものは、実が大きく、瑞々しさが際立つとのことです。
越王の里では、8月中旬から秋にかけて西蒲区産のいちじくが旬を迎え、店頭がにぎわいます。定番のブランド「越の雫」に加え、濃厚な甘みとコクが特徴の黒いちじく「ビオレ・ソリエス」、爽やかな甘さが際立つ緑色の「バナーネ」など、複数の品種が並び、それぞれの風味の違いを楽しめるのも魅力です。秋の味覚を選ぶ楽しさが広がる季節です。

新潟市西蒲区を中心に栽培されるブランドイチジク「越の雫」は、イチジク品種「桝井ドーフィン」を使用し、8月中旬から11月中旬にかけて出荷されます。本来は桝井ドーフィンは夏果と秋果に収穫されるものですが、西蒲区では夏果は扱わず、新潟の気候に適した秋果に特化することで、高品質な果実を安定して出荷しています。地域の知恵と工夫が詰まった秋の味覚です。
新潟県内のスーパーや、農産物直売所に売っています。
西蒲区にあるJA新潟かがやき「越王の里(こしわのさと)」で購入しました。ぜひ一度味わってみてください。
とても美味しいですよ!